闇米日記

日本農業(特におコメ)について海外から考えるブログです。

おコメの研究者がベトナムの寿司に洗礼を浴びせられる話

ベトナムに来ています。

おコメ作りの研究者である私には、このベトナムの稲作地帯メコンデルタで収穫量を維持しつつ、環境への負荷も小さくするという、両刀使いのおコメ作りのシステムを確立せよ、という壮大な任務が課せられています。「二兎追うもの一兎も得ず」にならぬよう、契約期間わずか二年の間に結果を出すことが求められている・・・という話は今回は置いといて。

私はまだ二十代の新米研究者ですが、経験こそ大きな価値を占める農業や農学の世界では、二十代は鼻水垂らした生まれたての赤子のような存在です。なにせおコメに限って言えば、一年に一回(日本の大部分では)しか栽培できず、積み重ねた経験があまりにも限られているからです。農業のような複雑な自然界で営まれる世界では、二十代がなたれ小僧扱いされるのもむべなるかな、という感じです。

とは言え、曲がりなりにも大学、大学院を卒業して博士号を持っているからには、一応「おコメの専門家」として世間一般には取り扱われ、今回のような任務を仰せつかっている訳でもあります。

さて、そんなおコメの専門家、ベトナム入りしてから早速スーパーで売られているインディカ米(細長くてパサパサしたやつ)やジャポニカ米(丸っこくてモチモチしたやつ)を観察したり、値段をみたり、実際に食べてみたりして、「ふむふむ・・・」と専門家の現地調査さながらな行為をやっておりました。

そんなある日のこと―

「最近あたらしい寿司屋が出来たんだよ」

と職場のベトナム人から耳寄りな情報が。

ベトナムに来て早三週間、日本食が恋しくもなってきていた私は、これは調査に行かない訳にはいかない!ということで、早速寿司屋へ。お店の外観も内装も小奇麗な感じで、入店すると懐かしい「イラシャイマセ」の声が(日本語はこれだけだった)。残念ながら英語は通じないものの、メニューに写真があったので指差して一人前の「握り」を注文。すると・・・

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いい感じのが出てきました。これで190,000ベトナムドン(約950円)というのは、日本基準で考えても高い、ましてやベトナムの食費にしてはかなりの出費(フォーだと一杯約100円で食べられる)ではあるが、背に腹は変えられん、ということで早速マグロをぱくり・・・

「寿司だ!おいしい!」

普通に美味しいお寿司でした。

板前さんは完全にベトナム人ではあったものの、どうやらそれなりの技術はある様子。とは言っても、日本で言うと回転寿司といいとこ勝負だとは思いますが、日本食断食三週間(フォー・パン・インディカ米地獄)の身には染み入る酢飯・ワサビ・海苔・刺身たち・・・

満足して支払いも終え、午後の業務へと戻った私は、グーグルマップのお気に入りに寿司屋を登録し、「メニューには寿司の他にもラーメンや丼ものもあったから、今度職場のみんなでも来れるなぁ」と呑気に思っておりました。しかしその翌日。

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私は濃い緑色の毛布にくるまって病院にいました。

腹痛・下痢・発熱・寒気・頭痛・・・

寿司を食べた夜から下痢、翌日の熱は最高で38.6℃まで。まさかこんな早くに海外旅行保険を使うとは・・・

保険会社の指示では英語可能な病院と聞いていたのに、夜間診療ということもあり、英語が話せる人は誰もいず。幸いにホテルのスタッフに付き添ってもらったので、事なきを得ましたが、異国の地のまったく分からない言語が飛び交う病院で、採血したり、よく分からない飲み薬を飲まされるのは中々刺激的な体験です。

結果、「原因はよく分からん。感染症ぽい。」ということでしたが、よく分からないヌルヌルしたサイダーを飲んでから30分程でみるみる体調が回復。さっきまで青ざめた顔をしていたのに、「今なら俺は走ってホテルまで帰れるぜ」と豪語してホテルのスタッフに呆れられる始末。しかし薬、効きますな。

その後3日ホテルで静養・薬服用・病人食を続けてやっと全快。

実際原因が寿司だったかどうかははっきりしませんが、それ以外に変わったモノを食べたり飲んだりしていないので、消去法的に寿司が憎き存在になっております。こうなると、中々寿司に手出しが出来なくなりますな。

おコメの研究をしにベトナムまでやってきたのに、ベトナムの寿司に手痛い洗礼を受けることになりました。