低コスト化は進むよどこまでも。
そもそも人類史上、農業の誕生は「史上最大の詐欺」と言われてたりします。
なぜかというと、一見農業は食糧を増加させ、食生活を改善し、余暇を増やしてくれるように見えますが、実際には人口爆発と飽食エリートを誕生させ、格差を増やし、平均的農耕民はより苦労するようになったからです。
その当たりの詳細はこちらの本で。
農業の誕生後、テクノロジーの進展によって農業は現在に至るまで進化を続けます。
だけど、農業テクノロジーの進化の本質は極めてシンプル。
つまり「単位面積当たりの生産量」を増やす、かつ、そのコストを下げるということ。
極端な理想を言えば、寝ながら(低コストで)、畳一畳分の畑で全人類の食糧を賄えたら(単位面積当たりの生産量が超絶)最高ですよね。
- http://www.usda.gov/oc/photo/95cs2841.htm - Image Number:95c2841 CD0623-027
という訳で、人類は寝ながら農業を目指して20世紀も結構がんばりました。
緑の革命と言われるこの著しい農業技術発展(1940~1960年代)は、以下の4つの技術要因によって成立します。
①高収量品種
②化学肥料の多投
③農薬による病害虫防除
④灌漑設備の整備
それまでは、肥料を多投すると作物の草丈が伸びすぎ、台風や降雨で倒伏しやすくなるケースが多くあったんですね。
だから、肥料の投入量は制限せざるを得なかった。
しかし①草丈の短い品種の開発によって、②肥料の投入可能量は大幅に増加します。
肥料の多投は病害虫の発生を助長しますが、この問題も③化学農薬の利用によって解決。
これらの技術革新をベースに農業体系は整備され、農作物収量は爆発的な増加をみせます。
図は、1950年から2000年頃までのコムギの単位面積当たりの収量の推移を示すものですが、一目瞭然ですね。
特にメキシコでは、50年間で収量が5倍ほど増えている。やばい。
緑の革命は、環境問題を引き起こしたと批判されることも多い現象ではありますが、当時の貧しい食糧事情を考慮すると、当時としてはしょうがなかったろうなと思ったりします。
まぁ、緑の革命のリーダー的存在だったアメリカアイオワ州出身のボーローグ博士(気骨あるおっさん臭がぷんぷんする)は、1970年にノーベル平和賞を受賞してるので、評価はされてます。
緑の革命のその続きや、引きおこした問題等についてはまた今度。