おコメ博士の闇米日記

日本農業(特におコメ)について考えるブログです。

「緑の革命」はYes?それともNo?

前回の記事で、20世紀は高収量品種+肥料+農薬+灌漑設備の「緑の革命」で食糧が劇的に増加したことを書きました。

mroneofthem.hatenablog.com

 一方、「緑の革命」によって生じた問題も色々と指摘されてます。

ざっくりとはこんな感じ。

(1) 農家所得が増えなかった・・・農作物が増えて価格が暴落したから。

(2) 初期投資が必要だった・・・灌漑設備や肥料・農薬代が必要だったから。

(3) 環境が汚染された・・・どうしても過剰に窒素やリンの栄養分を入れてしまうケースが増えるので、作物が吸収しきらなかった分が河川や大気に流出し濃度が高まる。

(4) 都市と農村の物質循環が崩れた・・・農地で収奪した元素が都市に移動してそのまま帰ってこない(糞の還元など)ので、亜鉛などの微量元素が欠乏しがち。

今の世界でも、本質的な問題は変わっていない、という気がします。

 

環境保護系の活動はアメリカやヨーロッパが強いので、「緑の革命」の最大の功績者と言われているボーローグ博士は、欧米の彼等から多くの非難を受けたりしています。

ただボーローグ博士自体は「食糧難を改善したい」という強い意思をもって現場で何十年も活動してきた人なので、ある時堪忍袋の緒が切れて、こんな言葉を残しています。

「欧米の環境ロビイストの中には、社会の鑑とでもいうべき立派な人もいるが、多くはエリート主義者だ。彼らは、飢餓がどんなものなのかを実際に体験したことがなく、ワシントンやブリュッセルの快適なオフィスからロビー活動をやっている。一トンの食糧もつくったことがない。そうした人たちは、発展途上国の悲惨な状況の中で、一カ月でも生活してみればいい。私は六十年間そうしてきた。そうすればきっと、肥料や除草剤、用水路、トラクターがほしいと懇願するだろうし、祖国でその要求を却下する小ぎれいなエリートたちに対して、大きな怒りを覚えることだろう。」

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欧米のエリート層に大きな怒りを覚えている現場主義のボーローグおじさん

 

社会が大きく進むテクノロジーが発明された時は、良いことだけじゃなく、悪いことも助長されてしまうもの。しかも「緑の革命」は生命に直結する食糧の問題ですからね。

今の価値観で判断すると批判もわかるのですが、当時の時代状況を考えるとボーローグ博士の言い分には理があると個人的に思っています。

いずれにせよ、「緑の革命」は史実なので、21世紀の農業はこれらの問題を解決すべきであることは確かです。

“緑の革命”を起した不屈の農学者 ノーマン・ボーローグ

“緑の革命”を起した不屈の農学者 ノーマン・ボーローグ