「緑の革命」のその続き
「緑の革命」に色々負の側面があったにせよ、農業テクノロジーの進歩の本質、単位面積当たりの生産量爆上げを達成したことは間違いない事実です。
その後、環境汚染を下げようとか、資源利用の効率化を上げようとか、テクノロジーの発展の方向性には色々とバリエーションが出てきました。良いことですね。
とは言え、現在進行形の人口爆発による食糧需要増大は今後も大きなテーマなので、更に貪欲に単位面積当たりの生産量爆上げしようぜ、という従来の方向性のテクノロジー進展も未だに盛んです。
例えば、その1つがゲノム編集。
ゲノム編集は、特定の遺伝子配列を選択的に機能不全にしたり、改変したりする技術です。分かりやすく言えば、農作物をめっちゃ乾燥に強くしたり、めっちゃ糖度を高くしたり、が人為的に、短い時間で正確に出来るようになったのです。
2017年現在では、市場にゲノム編集技術によって改良された農作物は出回っていませんが、時間の問題だと思います。既に中国はヒトの胚で実験してるくらいですからね・・・。いやはや、えげつない。が、倫理的ハードルが低い態度が競争には圧倒的に強くなってしまうのは、現代社会の摂理とも言えます。
↓この動画のゲノム編集の説明はとても分かりやすいです。
[ScienceNews2017]シリーズ・ゲノム編集 (2)実用化への課題(2017年3月1日配信)
他には、ビックデータ解析に基づく情報集約型栽培。
これまで篤農家の経験や勘などの総合的判断に頼っていた状況判断が、センサーの低コスト化やビックデータ解析技術の進展に伴って、かなり簡便化される技術が研究されています。
2017年現在では法整備も進んでおらず、まだまだ研究・実証中という所で、普及にはまだ時間はかかるでしょうが、既に病害虫の検知や発生予測、追肥判断、収穫適期判定など、技術整備は進んでいます。
他にも、ドローンによる農薬散布や見回りや無人農機による播種や収穫等のいわゆる農業ICTも、農業の低コスト化を推し進めるテクノロジーです。
このように、ゲノム編集による品種改良や、ビックデータ解析やIT化によるテクノロジーの急速な発展で、緑の革命が示した「単位面積当たりの生産量爆上げ」+「低コスト化」の方向性は更に推し進められています。
ただ、この方向性は明らかに大資本をもった大規模集約型の農業体系が圧倒的に有利なのが、ちょいと気になる所。
農業の世界の大部分が、スケールメリットを活かした画一的・大規模集約化になってしまうには、メリットもありますが、反面デメリットもありますからね。
農業の画一化・集約化のメリットとデメリットについては、また今度整理することにします。