異常気象へのスタンスで炙り出される個人の社会イメージ
In the East, it could be the COLDEST New Year’s Eve on record. Perhaps we could use a little bit of that good old Global Warming that our Country, but not other countries, was going to pay TRILLIONS OF DOLLARS to protect against. Bundle up!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2017年12月29日
年の瀬が迫る2017年12月28日、現アメリカ大統領のトランプさんがこのように呟きました。
日本語訳は
「東部では史上『最も寒い』大みそかになるようだ。たぶんわれわれは、古き良き地球温暖化をもうちょっと活用してもいいんじゃないか。わが国は他の国々とは違い、温暖化対策に『何十兆ドルも』つぎこむ予定だったのだから。暖かい格好をしよう!」
このツイートに対して、「アメリカ東部という局所的な気候を例にとって、地球全体の温暖化という現象を嘲笑している!」として非難があがっている模様。
確かにトランプさんの言ってることは、極端な一例を取り出して全体の傾向をなきものにしようとしてるので、根拠がむちゃくちゃという意味で間違っているとは思います。
ただ、気持ちがまったく分からないでもない。
温暖化現象は、常に陰謀論がささやかれ続ける現象だからです。
例えば、2009年にクライメートゲート事件なるものが起きました。
この発端はそもそもイギリスの大学のメールや文書がハッキングされたことで発覚したもの。
内容は、科学者たちが地球温暖化を人為的なものだとするために国際的に陰謀しデータ改ざんなどを行っていた、というもの。
ハッキングで表沙汰になったものだけに、余計に信ぴょう性がありました。
ところが、その後、温暖化懐疑論者にも理解がある別の研究機関による再分析が行わましたが、結果は「温暖化に疑いはない」というもので、多くの温暖化懐疑論者を落胆させることに。
再分析の結果が出たとは言え、めでたしめでたし、とはならないのが、膨大な情報に溢れている現代の情報社会。
再分析すらも陰謀だという情報もある訳で、腑に落ちなければ、永遠に温暖化は嘘だと信じることも出来る訳です。
ましてや、温暖化によって割を食う産業にいる人たちは特に。
ちなみに温暖化によって氷河が溶けると、海底資源が採掘しやすくなり、人々は新たな二酸化炭素を発生する石油と天然ガスの開発に更に乗り出したりしていて、子供の頃に読んだ絵本に出てくる愚かな大人像を再現してくれたりしています。
もはやこうなってくると、何が真実かを議論しているかではなくて、自分が信じたい結果を正当化するように情報ゲームを戦っているようなもの。
トランプさんも、きっと温暖化を主張する科学者たちなんて信用できないと思っているのでしょうし、だからこそああいうツイートをするんだとは思っています。
気象現象は、地球という広いエリアに様々な形で現われ、消えていく極めて複雑なものなので、結果いくら科学的データがあると言っても部分的でしかない。気象学に精通し、かつビックデータの統計手法にも秀でた人なんて極々わずかな専門家しかいません。そして専門家ですら扱うデータが違えば意見は分かれたりする。
なので、多くの一般人は気象現象を抽象的なイメージでとらえるしかなく、なんか怪しそう、だとか、科学的っぽいから本当っぽい、とか、そういう印象で解釈せざるを得ない。だから、メディアに力をもってる方が正しさをより纏うことが出来ると個人的に思ってます。