意外と知らない、農業から出てくる温室効果ガス
一点の 偽りもなく 青田あり (作者:山口誓子)
のどかな田園風景を想像すると、農業はいかにも環境に良いような気がしますよね?
でも、農業は温暖化に対して結構な影響度を持っていたりします。
下の円グラフは、地球温暖化についての国際的学術機関であるIPCCの最近のデータを環境省がまとめたもの。
なんと、「農林業・土地利用部門は、世界の人為起源のGHG(Green House Gass;つまり温室効果ガス)排出量の約4分の1を占める」と書いてます。
4分の1・・・!
では、農業といっても稲作・畑作・果樹・畜産と色々種類がある訳で、出るガスも二酸化炭素(CO²)に限らず、二酸化炭素よりも温室効果が高いメタン(CH⁴)や亜酸化窒素(N²O)などもあります。
日本の場合、どういう農業から、どれくらいの温室効果ガスが出てるのでしょうか。
気になったので、国立環境研究所の温室効果ガスインベントリオフィスで公開されているデータを基に分析してみました。
GIO 温室効果ガスインベントリ 日本国温室効果ガスインベントリ報告書NIR データより筆者作成
一目見てわかるように、黄色で示された稲作由来のメタンが41%もあります。牛のゲップ(22%)に多くのメタンが含まれていることは結構知られていますが、稲作由来は2倍近い量です。日本の稲作はほとんどが水田ですから、土の中に酸素が少なく、メタンを作る微生物が棲息しやすいのが大きな理由です。
意外でしたか?
水田からかなりの量の温室効果ガスが出ているのです。
対策の一つとしては、栽培期間中に水を抜いて酸素を入れる中干しや中干し期間の延長という作業によって、メタンガスの発生を減らせることが報告されています。
さてさて、まとめると、(1)農業から出る温室効果ガスは全体の4分の1程度と大きく、(2)日本では水田から出るメタンガスの割合が高い。
ということで、水田から発生するメタンガスをいかに減らすか、という課題は、日本農業における温暖化対策としてとても重要なのです。