農学博士になるには
前回、「博士になるには」という記事を書きました。
博士にも医学博士から哲学博士まで色々いるので、ぼやんとした記事になってしまったので反省。今回は自分が取得した農学博士に絞って、マイナー情報について書きたいと思います。
1)農学博士への裏ルート
大学農学部の三年生になると、学生実験が行われる広い実験室等で、見慣れぬ新入生を発見して転校生が来た時の感触を思い出すことがあります。
そう、彼等は編入生。彼らは三年次編入試験をパスして入ってくる新顔です。
出所は様々で、同じ大学の理学部や工学部から分野変更を決断した者、短期大学や高専を卒業しやってきた者、あるいは文学部や経済学部等の文系学部からやってくる者など、多くのケースがあります。
つまり、農学部は理系に分類されますが、文系だろうと理系だろうと、高専生だろうと短大学生だろうと、編入試験というものに合格すれば農学部に潜りこめる。
その試験も小論文と面接だけだったり、+英語や+生物があるだけだったり、高校レベルの理系知識があれば難しくないものです。
平成30年度農学部第3年次編入学試験の学生募集要項を公開しました | 入試情報 | ニュース - 新潟大学
例えどんな経路であろうと、農学部に潜り込んで卒業してしまえば、もう立派な農学部卒の若者です。更に進学を選び力さえあれば、修士号や博士号をとることも出来るのです。
2)学歴ロンダリング
マネーロンダリングとは汚れたお金を洗ってキレイなお金にすること、学歴ロンダリングとは、しょぼい学歴を洗って使える学歴にすることです。
大学や研究機関などのアカデミア(学問世界)にいると、どの大学に所属したかが物をいわす時というのがあります。コネは、聞こえは悪いですが、よく言えば潤滑油であり、そのコネも要因となって人事や採用が決まっていることも少なくはありません。
知名度の低い地方国立大や私立大にいれば、就職のパイプや研究業績を上げるスキルをもつ先輩や教員は少ないが、東大や京大には豊富なパイプと経験が蓄積されています。
だから、大学院進学時に東大や京大受験を選択して、学歴を洗う人は結構います。
例えば東大大学院農学部の生産・環境生物学部の入試科目は、一般教育科目1つと英語と専門科目2つの計4つのみ。(+口述試験もあり)
大学院入学を希望の方へ | 東京大学大学院農学生命科学研究科 入学・進学のご案内
普通に学部試験で入る場合は、センター試験で5教科7科目、個別学力試験で4教科ですから、大学院試験の方がはるかにイージーです。
実際、「えっ?この人でいけるの?」というケースが多数目撃されていますよ。
3)学振には応募しとく
博士課程への進学を決めたら、学術振興会の特別研究員に応募しましょう。
採用率20%程度なので、自分はきっとダメだと思う自信のない人も多いですが、申請するのはタダ。
自分の研究内容を客観的に説明するトレーニングにもなるし、不採用ならスコアが表示されるので同じ博士課程の学生の中での自分の位置を客観的に知ることが出来ます。
それこそ学歴ロンダリングに成功していれば、先輩や教員から採用された人の書類をゲットしやすくなり、情報戦において有利です。
万が一にでも採用されれば、学生にして月額20万(税別)を給与として得ることが出来ます。精神的にも楽になって研究に集中できると思います。
私はダメ(奨学金を借りて過ごしました)でしたが、地方大でも採用されてる人は結構いるので、申請せずに諦めるのは勿体ないですよ。
4)研究室選びは結果的に人生を決めている
農学部の場合、卒業するまでにはどこかの研究室に所属しなければなりません。
学部生の頃は、元々好きな研究があったとかでない限り、なんとなくノリで研究室を選んでしまうことも普通ですが、多くの学生を見てきた経験でいうと研究室選びはその後の人生を決めているような印象があります。
それはいい意味でというより、わるい意味で。
なぜかというと、大学にはブラック研究室なるものが存在するからです。
ブラック研究室に入らないために必要なことは、既に研究室に入っている先輩から話を聞くこと、これに尽きます。
ホームページの情報や、先生の授業での振る舞い、研究の紹介だけではその研究室の本質はなかなか見えません。それどころか、ブラック研究室は学生を労働力とみなしてバシバシ使うこともあるので研究業績を結構あげていたり、面白そうな研究をやっていたりします。
その点、先輩はすべてを見ている人。嘘を言ってでも道連れにしよう、なんてことは普通は考えませんし、たいていいい所も悪い所も本音を話してくれるものです。
個人が面白くてブラック労働するのは問題ないですが、好きでもないのにブラック労働すれば病気になりかねません。実際なる人も多く見ました。(特にまじめな人は)
博士に行く人は、教員との関係が密になりますから尚更重要です。
学歴ロンダリングに引っ張られて、研究室選びがおろそかにならないよう要注意。
ということで、農学博士号をとるまでに目にしてきた有益と思われる情報を書いてみました。と言っても、私自身が学歴ロンダリングをやった訳でもなく、学振に通った訳でもない(スコアAまではいきましたが・・・)ので、実情は経験ある人の方が知ってるはず。
他にもネットには乗りにくい細かいテクニック等はたくさんあるはずで、本人が気づいていないこともあるはずです。
農学博士に興味ある人は、質問してくれればお答えしますよ。