おコメ博士の闇米日記

オワコンと言われがちな日本のおコメ。令和のこの時代に、グローバル視点で日本でおコメを作る意味を考えます

日本と世界の種苗会社勢力図

農業に不可欠な。その種を販売する種苗会社の勢力図は、特定企業の寡占状態が続いている。有名所としてはシンジェンタ(スイス)やデュポン(アメリカ)、モンサント(アメリカ)やバイエル(ドイツ)等。とは言え近年は買収が頻繁に起こる戦国時代。シンジェンタは中国の石油系化学メーカーのケムチャイナに5兆円超で買収され、モンサントはバイエルに6.8兆円で買収ダウ・ケミカルとデュポンは、2017年8月に経営統合を完了し新会社ダウ・デュポンとして上場。大手企業同士が合併し更なる巨大企業となる様相はまさにグローバル戦国時代。大手の合併が進んだ2017年以降、種苗業界の勢力図は新たなステージに突入した感がある。

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(上図:2007年の主要種苗会社の種苗売上高。現在は大手同士の合併が進み業界再編が進む) 朝日新聞グローブ (GLOBE)|種子戦争を勝ち抜け 02 先へと疾走するインド(Memo)

 

さて、一方日本国内の種苗会社はどうだろう。農学部学生の就職先として種苗会社は固いところだが、有名所としては上記したランキング世界上位10社に入るサカタのタネタキイ種苗、ホーブ、カネコ種苗、ホクトといったところだろうか。国内でもカネコ種苗が農薬販売の前田農薬を吸収合併したりと、大手種苗が吸収合併によって体力増強を図っているケースもあるが、兆超えの買収規模である世界の種苗会社と比べると小さいスケールだ。さて、2017年に種子法廃止が決定した日本において、今後の日本種苗会社の将来性はどうだろうか。私の友人知人も種苗会社入社は十人程度いるので会社の業績は気になる所。そこで2008年からの約10年間の株価を5社で比較してみることに。

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【上昇傾向】

1)サカタのタネ:上昇傾向。特に2014年頃から。

2)カネコ種苗:サカタより緩やかに上昇。

3)ベルグアース:上昇下降の波があり不安定だが、2017年暮れから一気に上昇。

【横這い】

4)ホクト:10年間非常に安定した株価を維持。

【下降傾向】

5)ホーブ:徐々に下降。

 

国内種苗会社5社をみるとホーブ以外は業績を高めつつある。今後の懸念はグローバル化による外国企業の国内参入だ。記事の冒頭に述べた超巨大グローバル企業の国内参入は、種子法の廃止が決定されたことで準備が整った様相を示す。これまで日本の種子は国や都道府県が公共の資産として管理・保有してきたが、その根拠となる種子法が廃止されることによって、大手種苗会社のパワーゲームによる種子の私有化が進む可能性がある。企業としては当然利益を上げるために、マーケットのシェアを高め参入を防ぎたいからだ。日本国内の種苗会社も、海外企業が国内マーケットに参入することを前提に準備を進めることが求められる。