おコメ博士の闇米日記

オワコンと言われがちな日本のおコメ。令和のこの時代に、グローバル視点で日本でおコメを作る意味を考えます

ビットコインの次はレタス・大根・白菜の時代

仮想通貨の価格が急落してネット界隈が騒がしい今日この頃ですが、野菜価格の高騰でバタバタしている農業界からレポートです。

www.sankei.com

なにせレタスは平年の3.4倍大根は2.7倍白菜は213円で1.5倍ですからね。

ビットコイン価格が-25%とかいってますけど、こちとらそれどころじゃない訳ですよ。

時代はビットコインイーサリアムリップル、なんかじゃありません。

時代はレタス白菜大根です。

白菜のイラスト(野菜)

そもそもなんでこんなに値上がりしてるのかというと、昨年秋に温度が低かったことや雨が続いたことがあって、特に葉物の成長が遅れたからです。

白菜目線でいうと、「まだ子供なのに毎日さむいし雨は降るわでテンションダダ下がりっすわー」というやつです。

例えば白菜は、8月末~9月頭に種をまいたやつが、だいたい4カ月くらいかかってすくすく成長して、今の1月頃に収穫できるのですが、温度や太陽の光の程度によって生育期間が縮まったり伸びたりする訳です。

つまり、まだ白菜が子供の段階で光合成を必要としてる時に、天候不順で伸び悩んだので、結果今の時期でもまだ小ぶりで、小さなものを無理矢理出荷してるうちに需給バランスが崩れているという訳なのです。

高い値札を見た人のイラスト

基本、この高騰はずっと続く訳ではなくて、冬に播いた野菜が続々と出荷される2月頃には値段も落ち着くはずです。

創業60年の八百屋の社長が、「こんなに高値が続く冬は初めて」と驚いていますが、気象条件って予想外のことがあるよね、っていう当たり前を前提にすると、特段びっくりすることでもないのです。(業界人にとっては経営への影響大きいので頭を抱える気持ちはわかりますが・・・)

今回のケースは、台風などで野菜が売り物にならなくなっちゃったケースではないので、売る時期を気にしなければ、もっと待って大きくしてから、食べれば問題ない問題で、社会システム全体としてはムダが多いと思ってます。

ただ、野菜業界としては鍋の需要が高まる今時期を無視する訳にはいかなくて、生産と消費のパワーバランスが消費に傾き過ぎると、長期的には社会全体にとって利益が減っちゃうと思っっちゃいますね。

うなだれるお百姓さんのイラスト

こんな社会全体のムダに対しては、以下の3通りの対応があると思います。

1)高騰する時もあるし暴落する時もあるし、そういうものだとギブアップする

2)植物工場の技術開発を進めて気象条件に左右されない安定生産を目指す

3)輸入ルートを多数確保してAが駄目な時はB、という風に保険をかける

 

1)が現状なんですが、だったら驚くことは本来ないんですよね。天候不順は必ずある訳で、野菜の価格が上下することも当然なので。

2)も一時期注目を集めましたが、今時点の技術だと特に太陽光のかわりに人工光を使うコストがとても高いので、普段の野菜価格を下げることが難しいです。ただ、施設のコストが劇的に下げる発明がされれば、安定生産が可能なので見込みはあります。

3)は中国産の白菜やキャベツを輸入するってのは実際今回も方法としてとられてますが、天候不順というアンラッキータイムはどこで発生するか分からないロシアンルーレットなので、そのために流通経路を確保し続けるコストをどう考えるかです。

 

また、1)のギブアップにも種類があって、①とつぜん値段が高くなることにギブアップか、②値段が高い時はレタスや白菜を買うことをギブアップもある訳です。

まぁ理想論としては、今の消費者目線に傾き過ぎたシーソーを生産者目線に少し傾けて、長期的な安定生産が可能な適正価格を守り、天候不順のロシアンルーレットに当たった時のために多様な産地・作物の生産現場を確保する、ということですかね。

 

ちなみに、世界もそうですが日本でも異常気象の頻度は増していて、ロシアンルーレットで頭をぶち抜いちゃう可能性は少しずつあがってきてます。具体的には以下のような異常気象です。*1

1)異常高温の出現頻度は増加 

2)異常低温の出現頻度は減少 

3)階級別日数(猛暑日真夏日、熱帯夜、冬日)には変化傾向

4)異常少雨大雨(日降水量 100mm、200mm)の年間回数が増加する傾向 ↗

5)最深積雪(東日本日本海側、西日本日本海側)に減少傾向 

 

なので、単一品種を大規模農地で効率的にやるっていう方法は、今のロシアンルーレットの確立が高まった時代にはリスク高だと思うのですが、まぁなんやかんやいうても大丈夫やろ、と漠然と思ってる人は私も含めて多いですね。

カジノのチップのイラスト

人間の活動規模が小さかった時代は、漁師が魚の資源量なんて考えることがバカバカしかったように、環境への悪影響を考えることも必要なかった訳ですが、いろんなテクノロジーが進んで活動規模が大きくなった今は、環境もインフラだという感覚が大事だと思ってます。まずその感覚をもたないと、ギャンブルに身を任せる時代が続くと思うので。なので、農業も環境への負荷を減らすような方向へと向かってはいます。

そのあたりの過去記事はこちらで。

mroneofthem.hatenablog.com

 という訳で、「ビットコインの次はレタス・大根・白菜の時代!」レポートでした。

*1:異常気象・極端現象の長期変化傾向

http://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/climate_change/2014/pdf/2014_1-3.pdf