おコメ博士の闇米日記

オワコンと言われがちな日本のおコメ。令和のこの時代に、グローバル視点で日本でおコメを作る意味を考えます

実は『コメ大国』中国のコメ作り

かつて瑞穂の国とも言われた日本ですが、世界におけるコメを考えるとき、中国は重要な存在です。

そもそも、稲作の起源については諸説がありますが、現時点の科学エビデンスでは長江流域が稲作起源として有力と考えられています。中国の長江流域にある河姆渡(かぼと)遺跡から約7000年前の炭化米や稲作道具が出土しているからです。

稲の出自が中国にあることに加え、現在ではコメの生産量・消費量も中国が世界第一位です。(ジャポニカ米もインディカ米もあわせたコメの生産量・消費量のことです。)

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(2014-2015年の各国のコメの生産量と消費量 農林水産省/特集1 米(2)より引用)

 

ほとんどの日本人はもちもちしたコメのジャポニカを好んで食べますが、中国人はチャーハン等に適するインディカ米も食べるし、ジャポニカ米も食べます(もちろん地域による違いがありますが)。

2012年の統計では、中国で生産されるコメの内、約1/3がジャポニカで、所得水準の向上やジャポニカ米生産を支援する政府の政策的効果の背景が手伝って、近年その割合が高まってきています。

2014年の中国のコメ生産量が約1億4000万トンですから、その1/3がジャポニカ米(約4600万トン)と仮定すると、日本で生産されるジャポニカ米の約6倍が既に中国で生産されていることになります。

いやぁ、すごいスケールですね。

 

となると気になるのは、米価と日本への輸入のリアリティですよね。

米価については、90円/kg程度

といっても、近年中国の米生産コストが高まり、また人民元高が影響したこともあって、ジャポニカ米輸出価格が上昇している中でのこの値段。うーむ。お安い。

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国際市場でみると、中国産ジャポニカ米の値段があがった結果、国際的にはアメリカ産ジャポニカ米の方が安くなり、下で示した表のように、中国産ジャポニカ米の価格競争力は近年下がっています。

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*1

 

ですがもちろん、日本産ジャポニカ米と比較すればその差は歴然

日本産米が2000円/5kgとしたら、中国産米はだいたい500円/5kgといったところ。

1/4の価格帯です。

中国大連市のスーパーマーケットでその実情を確認した森嶋賢博士も、その安価には驚いています。↘

www.jacom.or.jp

それと、東日本大震災のあとコメ不足になったので、西友が一時期中国産米を販売していたこともあるんですよね。このときは1299円/5kgの値段と、割と高かった訳ですが。

www.nikkei.com

味もブログを見る限り悪くなかったみたいです↘

d.hatena.ne.jp

という訳で、中国産ジャポニカ米が日本にじゃんじゃん輸入されるようになったら日本国内農家がピンチになることは間違いがないです。歓迎論もかなりありますからね。

なんといっても、既に日本国内のジャポニカ米消費量の6倍が生産されている訳ですから、日本市場に参入する準備は整っているといってもいい訳です。

ただ、タイミングとしてはここ数年はない見込みです。

というのも、今はまだ中国国内のジャポニカ米の需給が逼迫してるので、輸出する余力がないのです。日本農業にはまだ時間が残されていることを我々は幸運に思うべきではないでしょうか。

その間に、どんなコメ作りなら日本でやる価値があるのか?問題を解決しておきたい所です。この問題は、国際的な比較や日本農業の現状を分析した上で答えを見つけることが、多くの人を納得させる上で重要だと思っています。