おコメ博士の闇米日記

オワコンと言われがちな日本のおコメ。令和のこの時代に、グローバル視点で日本でおコメを作る意味を考えます

情熱の国スペインの情熱のコメ作り

イタリアといえばリゾット、スペインといえばパエリア

ということで、コメといえばアジアなイメージが強い昨今ですが、ヨーロッパにも米食文化も水田もコメオタクの頑固親父も存在して、面白いので以前スペインまで突撃隣の晩御飯をしてきた、という話を書いてみようと思います。

コレがスペインで買ってきたパエリア用のおコメ。(ジャバニカ米に分類されるセニャ米。見た目はジャポニカ米のようですが、食感はパサパサしています。このおコメの値段は1kg=3.5ユーロ≒426円)

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さて、スペインのコメの生産量は、だいたい日本の1/11くらいですが、ヨーロッパの中ではイタリアに次いで二番手です。ただ有機農業が盛んで、有機農業面積が世界で第四位、EU内では第一位という特徴をもっていたりします。

 

≪コメ(籾)の生産量の比較≫

イタリア: 約150万トン

スペイン:  約90万トン

日本:  約1000万トン

 

さて、スペインのそこらのレストランで「パエッラ!」と注文すると、こんなのが出てきます。

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これ↘は、イカ墨味。f:id:mroneofthem:20180131132439j:plain

こういっちゃ元も子もない気もしますが、おじやの汁気を少なくして、コメの食感をしっかりさせたようなもの、それがパエリアというやつです。なんともヨーロッパ的雰囲気を台無しにしてしまうような表現ではありますが・・・

ちなみにスペインではパエリア鍋を2~3人でつついて食べるのが普通なので、一人でいった私は毎度腹いっぱいになったり残さざるを得なかったりするのでした。

一人でパエリア食ってるヤツなんて中々いないのですよ。

 

で、スーパーでどんな風におコメが売られているのかというと、こんな感じ↘

1kgの単位で売ってる所が多かったです。主食じゃないので、「ちょっとパエッラ食いてぇな」ってときに買ってくる、といった感じなのでしょうか。

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ちょっと大きめのショッピングモール(エルコルテ)なんかにいくと、こんな小洒落た感じのパッケージで売っちゃっています↘。ブログ冒頭のお土産用にかったおコメは、棚中央左のアルブフェラ産のおコメです。

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で、いわゆるスペイン産のパエリア用コメはそんな感じですが、スシライスも売ってました↘。これはイタリア産で、3.25ユーロ≒400円くらいでした。

味がどんなものかは試しませんでしたが、商品名に「OISHII」って書いてますから、美味しいんでしょう。なんともストレートなパッケージです。

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で、話を寿司からパエリアに戻すと・・・

じゃあどんな感じでコメを作ってんのよ?と好奇心を刺激され、パエリアの発祥地として有名なアルブフェラ湖周辺までノコノコ行くことにしたのでした。

 

このマップでみると分かりやすいですが、アルブフェラ湖周辺に緑の水田が広がってます。

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このスペイン・バレンシア地域には、9世紀にアラビア人が稲作技術と灌漑技術を伝えたそう。なかなかの歴史があります。

で、このアルブフェラ湖周辺では、だいたい70年前になんと湖の4/5を水田に作り替えたそう!4/5ってえげつない・・・。水をせきとめて、泥を船で運んで・・・という果てしない苦労を積み重ねた末に手にした水田なのです。いやぁまさに情熱の国!

日本の東北地方でも肩まで泥につかりながら田んぼを開墾したって話があるんですが、ホント昔の人の根性はすごいと思います。

※アルブフェラの水田開墾の様子はこのページで説明されてます↘

200年の伝統を誇るスペイン・バレンシアの田んぼ | 世界の田んぼレポート | 水 | くぼたのたんぼ

 

湖を埋め立てて作った土地というだけあって、こんな風に畑でも水が浸みだしたりしてました。こりゃ色々と障害も起きそうだf:id:mroneofthem:20180131134620j:plain

で、水田はというとこんな感じ。2月末にいったので、まだまだ播種までは時間がある時期です。それにしても、水分が多いなぁという感じはします。

敢えて水を入れてんのか、勝手に入ってきちゃうのかはよく分かりませんでした。

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なにも植わっていない水田と言っても、刈り取られた後の稲株をみれば去年どれくらい豊作だったかなどは分かるのですが、みたところ、単位面積当たりの収量は高くないのだろうな、という印象は受けました。残された稲株が立派ではなかったですからね。

そもそも苗を植えていく日本と違って種をばらまいていくスタイルですし、品種も違いますから、単純な比較は出来ないのですが。

↘こんな感じ

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しかしスペインを歩いているのですが、農村になると雰囲気がどうしても日本の農村と似てくるのは不思議です。私が行ったエル・パルマールという村も、パエリア発祥の地としては有名なのですが、さほど観光客も多い訳ではないし、閑散として高齢化している感じなので、なんだか寂しい雰囲気がありました。

こんな絵とかも、なんか物悲しい・・・

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やっぱりここも若者は都市に出て行っちゃうんでしょうね。

スペイン語はなせないので農家の人と話すことはしませんでしたが、情熱の温度が冷めてきている雰囲気も感じて、なんとも思う所があるスペイン突撃晩御飯でした。(※晩御飯は突撃してない)