石油頼みの日本農業がとるべきスタンス
農機のEV化は進んでいない。
したがって農機の稼働は石油頼みになる。
ガソリンは、はるか彼方中東から運んでくる化石資源だ。
(中東から日本への原油の主な輸送ルート)
農業の役割に「食糧安全保障」という言葉が使われることは珍しくない。
有事の際に自前で食糧が調達できるかどうか、の概念だ。
しかし農業の石油依存度は99%。
石油が止まれば農機も止まる。農機が止まれば農業が止まる。
よって食糧安全保障はエネルギー安全保障と同じ意味だ、という意見も正論だ。
「どうせエネルギー依存してるのだから、食糧も輸入依存で構わない。要は金さえあればどこかからでも買える」という考えの是非はここでは置いておこう。
問題は、巷で主張される既存の食糧安全保障論の根拠の薄さだ。
「日本農業は食糧安全保障上不可欠だ」という論は、日本の輸入原油の8割が通過する、僅か幅70キロメートルのマラッカ海峡の如く、か細い針の上に屹立している。
農業だけに限らないが、エネルギー自給率6%の現実は重い。
(主要国の一次エネルギー消費構成と自給率 2013年:OECD/IEA
https://www.jepic.or.jp/data/graph01.htmlより引用)
とは言え、完全な正義など存在しないように、完全に自立している農業も有り得ない。
戦後の日本経済が、少ない天然資源に関わらず発展を遂げたのは、自動車や電化製品、造船、鉄鋼などの加工貿易が栄えたためだ。
資源を輸入し、技術によって価値を付けて輸出する。
農業も同様に、石油を輸入し、技術によって国際的に価値ある農業を輩出しなければ、石油を浪費する農業で帰結してしまう。
食農業界のグローバル化が進み、日本で農業を行う意味が問われる現代こそ、基本的な日本農業の原理を改めなおすことが重要だ。
と、いつもとはちょっと違った固い文体で書いてみました。
参考になる資料:「石油産業の現状と課題」平成26年2月 資源エネルギー庁 資源・燃料部
http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/shigen_nenryo/sekiyu_gas/pdf/001_03_00.pdf