おコメ博士の闇米日記

オワコンと言われがちな日本のおコメ。令和のこの時代に、グローバル視点で日本でおコメを作る意味を考えます

2018-01-01から1年間の記事一覧

農業のスマート化。来年から加速する?

麦わら帽子をかぶっている田舎のおじさんでも「AI」なんて言葉を口にするのも最早普通になる程に、最近はどこのテレビ番組でもAIやら人工知能やら、パワーワードがもてはやされています。2045年頃に人工知能が人間の知性を超える!シンギュラリティとか…

どうすべき?獲れない田んぼの地力底上げ。【緑肥編】

農学部の学生時代、中古のオンボロワゴンアールを走らせ東北地方の様々な無肥料無農薬水田を調査していました。 (その時の論文はこちら↘ 当時は緑肥関連の調査はまったくしていませんでしたが・・・) iwate-u.repo.nii.ac.jp さて、どの水田も、肥料や農薬…

ちょっと変わった自己啓発本『働き方完全無双』の読書感想

ひろゆき氏(@hiroyuki_ni)の著書「働き方 完全無双」を読んで、面白かったので感想です。 働き方 完全無双 作者: ひろゆき 出版社/メーカー: 大和書房 発売日: 2018/04/14 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (1件) を見る 「起業」と…

日本は国際的にみて尖った農業をやることに価値があるんじゃないのかな説。

田んぼで作業をしていると、近所の人とバッタリ出くわして話に花が咲くのが農家というもの。新米農家とは言え、立ち話に関してはなかなかの腕前になりました。 さて、よくある立話の流れで、こんな風に驚かれることが多いことに気付きました。 「え?肥料を…

限界集落に移住&農業開始であっという間に3カ月が経っちゃった話

こんにちは。久しぶりのおコメ博士です。 史上初、6月にして関東甲信越の梅雨が明けるという激動の気候にさいなまされている日本ですが、僕の人生も今年4月からなかなかの激動をはじめました。 まず一つは限界集落に移住したこと。 そしてもう一つは、農業…

「冷やし中華」・・・じゃなかった、「田舎暮らし」はじめました。

久しぶりの更新。おコメ博士です。 さて、日本農業をグローバルな目線で考えようというコンセプトで開始した本ブログですが、これからは「田舎暮らし」もテーマにふんだんに取り入れてく所存です。というのも、実はここ4月から日本のとある田舎に移り住むこ…

遂にスマホで水管理の時代?続編

前回こんな記事を書きました。 www.mroneofthem.work これまでかなりの労力を使っていた稲作の水管理を、センサーと情報通信の技術を導入して遠隔操作できるようになりそうだ、というお話。 リモートですよ。リモート。 で、今回はその続編、実際にその商品…

遂にスマホで水管理の時代?

前回の記事で今の農学ってホントに農家の役に立ってるの〜?という疑問を書いてみた所ですが、「いやいやありますわな!」という意見もあるので、最近注目の研究について紹介するでござる。 ズバリ、「水田水管理のテクノロジー」でございます。 (研究成果) …

誰のために農学は鳴る?

最近かんがえていることの一つに、農学ってなんだ?ということがあります。 というのも、学部、修士、博士と3つの学生ステージで「農学」フルコースを学んできた私なのですが、「農学」が実際の生産現場にどれだけ役立っているのだろう、ということには大い…

「都市と地方をかきまぜる」の読書感想

前から気になっていたこの本を読みました。 都市と地方をかきまぜる?「食べる通信」の奇跡? (光文社新書) 作者: 高橋博之 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2016/09/16 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 20180310現在で、Amazonレビューが94件…

「戦争と農業」の読書まとめ

京大の歴史研究者である藤原辰史先生の「戦争と農業」を読んだので紹介。 なかなかドキッとするタイトル。 戦争と農業 (インターナショナル新書) 作者: 藤原辰史 出版社/メーカー: 集英社インターナショナル 発売日: 2017/10/06 メディア: 新書 この商品を含…

【祝100記事記念】ブログはじめて約2か月間のアクセス数や次のチャレンジなど

2017年12月25日のクリスマスに産声をあげた当ブログは、本記事で100記事目に到達することに。パチパチパチ えーと、これまでの日数が66日、つまり100記事÷66日なので、記事の生産速度は平均1.5記事/日です。最近ちょっと放置かましてたので、前半50…

価値ある情報提供?そんなものには中指を立てていく雑談回。

ブログを始めてから2カ月ちょっと経ちまして。 初めて、1週間くらい何もブログを書かない日々を過ごしたのでちょっと不思議な感じ。 別に書くことが枯渇した訳ではなくて、ネタは山盛りあるんですが、このブログが99記事目なのでちょっと総論的なズシン…

大人は黙って地理を勉強。勉強のお供には高校地理の資料集がベストという話。

最近買って良かったと思った本に新詳地理資料という本(本?)があります。 新詳地理資料 COMPLETE 2017 作者: 帝国書院編集部 出版社/メーカー: 株式会社 帝国書院 発売日: 2017/02/25 メディア: 大型本 この商品を含むブログを見る 高校地理の資料集ですね…

「土を乾かす」という魔法の話。

突然ですが、コレは何の写真でしょう? そう、わかる人にはわかるアイツ。稲です。プラスチックのコップに詰めた土に育っている稲の写真ですね。一応、おコメのブログだからね。 さてさて、左の稲に比べると、ずいぶんと右の稲の生育が良いみたい。 ですが実…

自然の力を引き出すとは何ぞや、という話

そういえば昔なにかと「なんぞや」という言葉を使う先生がいましたね。 それはさておき、先日ツイッター界でこんなやりとりをしました。 日本農業を盛り上げる上で必要なことは何か。最近かんがえてるコトを書いてみました。 #はてなブログ農学博士の僕が自…

なんで農家はネコを飼う?

今週のお題「ねこ」ということで、農業におけるネコの存在を書いてみましょう。 なんかスゴく無理矢理だな、と思う人も多いでしょうが、僕の知る農業世界では実はネコがキーワードだったりします。 何故かというと、お世話になってきた農家の人達が「え?あ…

農業を俯瞰的に考える上で参考になるWebページ達

農業情報にも色々ある訳ですが、「いざ鎌倉!」ならぬ「いざ農業!」という身としては、「こうやって栽培したら上手くいったよ」というのが一番知りたいトコロ。 でも少し長期的に農業の方向性などを考えようとすると、「有機農業をしてる人は日本にはどれく…

農法間の不毛な争いは辞めにしない?

農業に馴染みがない一般の人からすると何のことやらと思うかもしれませんが、農業は農業でも、「農業のやり方」における争いは非常に熾烈だったりします。 慣行農法と有機農法の間しかり、有機農法の自然農法の間しかり、自然農法と自然栽培の間しかり。 私…

農学博士の僕が自然栽培の課題解決に必要なことをまとめてみます。

前々回の記事で自然栽培のいいトコロを紹介し、 mroneofthem.hatenablog.com とはいえ色々と自然栽培にも課題があるので、前回の記事では正直に自然栽培の現状と課題を紹介しました。 mroneofthem.hatenablog.com となると、じゃあどうやってその課題を解決…

農学博士の僕が自然栽培の課題を3つ挙げてみます。

前回の記事で、自然栽培のいいトコロを3点紹介しました。 mroneofthem.hatenablog.com いいトコロばかり書くってのもアレなので、今回は自然栽培の現状と課題を書いてみることにします。なにごとも現状認識してこそのKAIZENですからね。 1)栽培技術…

農学博士の僕が自然栽培のいいところを3つ紹介します。

種をまいて収穫物を得る、っていうシンプルにみえる農業ですが、実は同じ農業でも色んな考え方があって、「とにかく資材を投入して単位面積当たりの収穫量を最大化しよう」という考え方もあれば、「まったく資材を投入せずに、ほおっといて実ったものを収穫…

北海道博物館で歴史を振り返る

最近はもっぱら札幌なので、以前から興味をもっていた北海道博物館なる場所に行ってきました。 北海道博物館 入場料は、一般は600円、高校生・大学生は300円です。 内容は濃いので北海道の歴史に興味ある人は払う価値はあるはず。 会場に入ると、いきなりナ…

おコメの基本的なデータソース

某テレビ番組で安全保障の専門家と言われる人が、大阪にスリ―パーセルと呼ばれるテロリストが潜伏してますよ、と発言したら、その根拠はイギリスの東スポことデイリーメールだったので、それはどうなのよと批判を浴びている昨今の日本社会。 それはさておき…

仮想通貨的農業世界

なにやら中国語みたいなタイトルですが、今回は農業世界のややこしき現実を今流行の仮想通貨になぞらえてパチリ。 仮想通貨に色んな通貨があるように、農業にも色んな農業があります。 私は仮想通貨をよく理解できていないので、詳しい人に「結局どれがいい…

ヤンマーの学生懸賞論文

今週のお題「表彰状」と言えば、ヤンマーの学生懸賞論文に応募して優秀賞をもらったことがありました。 www.yanmar.com ヤンマーは、農機の製造・販売で有名な会社ですが、有名デザイナーとコラボしてクールな農業ウェアを発売するなど、先進的なことも結構…

国際稲研究所のIRRIのこと(3)幸せに暮らす現地の人達のこと

フィリピンの国際稲研究所IRRIに留学していた時代、隣接する大学内でひとりでフラフラ散歩していたら、町ゆく高校生から声を掛けられて仲良くなるなんてこともありました。 彼等は地元の高校生ですが、英語教育が進んでいるフィリピンでは、結構な数の人が英…

国際稲研究所のIRRIのこと(2)日本人研究者と外国人研究者の違い

前回の記事で、フィリピンのIRRIに留学した時のインド人との関わりなんかを少し書きました。 mroneofthem.hatenablog.com さて、外国である程度暮らすとなると、外国の日常生活が体感できるので、日本人と外国人の違いが感覚的に理解できるようになった…

国際稲研究所のIRRIのこと(1)インドとの不思議な縁

おコメの主要生産地は主にアジアなので、おコメ研究のメッカもアジアにあるのが筋というもの。 国際稲研究所、通称IRRI(International Rice Research Institute)は、フィリピンロスバニョスにある世界最大のどデカい国際農業研究所です。 irri.org I…

「食は土にあり」の読書感想

日本にしかいたことがないと、日本を客観視することが難しいみたいに、自分がいいと思っている農業(私の場合自然栽培)だけの情報を集めていると、頭が偏りがちになってきちゃいます。勉強は常に大事。 ということで、私も普段関わってる農法とは別の農法に…