おコメ博士の闇米日記

オワコンと言われがちな日本のおコメ。令和のこの時代に、グローバル視点で日本でおコメを作る意味を考えます

日本農業の相対評価【1】「農地サイズ」

これまでにも度々のべてきましたが、改めて農地の規模を国際的に比較してみます。

農水省の資料*1によれば、先進国の平均農業経営規模は以下の通りです。

第1位 オーストラリア: 3124.50 ha

第2位 アメリカ   :   179.00 ha

第3位 イギリス   :     92.30 ha

第4位 フランス   :     58.70 ha

第5位 ドイツ    :     58.60 ha

第6位 日本     :       2.87 ha

 

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一目見ただけども国によって農業スケールがまったく違うことが分かりますね。特に広大な国土をもつオーストラリアが突出しています。日本はオーストラリアの約1/1000サイズ。まるで実物とプラモデルの違いです。

巨大ロボットのイラスト

さて、といっても、農業にも稲作・畑作・酪農といろいろある訳なので、上の単純な農地面積の比較はかなりざっくりとしたものでしかありません。

なので、ここではコメに絞って更にみてみましょう。

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そもそもコメの生産量が多い国とはどこでしょうか?

これまた農水省の資料*2によりますと、世界のコメ生産量ランキングは以下の通りでアジアがほとんどを占めており、さきほど農地面積の比較でしめした先進諸国のほとんどがランク外です。

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左の生産量と、右の消費量のランキングを比べれば分かるように、生産量と消費量がほぼ連動しています。アメリカやオーストラリアの農業が企業的農牧業と呼ばれるのに対し、アジア圏の農業が「自分達で作って自分達で食べる」自給的農牧業と呼ばれる所以です。

とは言え、インド、タイ、ベトナム等の消費量を生産量が上回るコメ生産国、そして企業的農業生産を行うアメリカ産のコメは、↘の図のように、輸出されるコメの70%近いシェアを占めています。

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注意しなければならないのは、インド・タイ・ベトナムが生産・輸出しているコメはほとんどがインディカ米であることです。そもそも世界で流通しているコメの90%程度がインディカ米と言われています(確かな統計情報がないのですが)。

なので世界的にみると日本が生産しているジャポニカ米は小さなマーケットということになります。

その小さなマーケットにおける競合ということを考えると、ライバルはやはりアメリカ、オーストラリア、中国といった顔ぶれになります。

これらの国々コメ農家の経営規模を比較すると、以下のようになります。

 

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コメ農家の平均経営面積でみるとアメリカがオーストラリアよりも大きく、中国が日本の約10倍程度です。北海道の平均経営面積が約20haですから、北海道農業はスケールサイズで中国を越えているということも言えます。

中国は近年ジャポニカ米生産量を急速に増やしていることもあり、更なる調査と分析が必要だとは感じますが、いずれにせよ、農地のスケールサイズでみると日本の農地は国際的にはきわめて小さい部類に入ります。

現在政府が進める大規模化や省力化等の効率化は、現在の日本農業と比較するならベターですが、国際競争力という目的で他のコメ生産国と比較するなら雀の涙程度の効果しかありません。

そのことは、前提として捉えておく必要があります。

ということで、日本農業の相対評価【1】「農地サイズ」においては、アメリカが5、オーストラリアが3だとすれば、日本は1ですね。これは国土の特性なのでしょうがないのです。ただ現実は現実として見ていくことが大事だと思っています。

 

次回は、農業エネルギーの石油依存率、輸入エネルギー依存率を相対評価したいと思います。