おコメ博士の闇米日記

オワコンと言われがちな日本のおコメ。令和のこの時代に、グローバル視点で日本でおコメを作る意味を考えます

博士になるには

2018年1月5日にこんなニュースが出ました。

www.itmedia.co.jp

先生が配ったアンケートに多くの小学生男子が「学者・博士」を書いた理由を勝手に推察すると、 昨今のメディア登場率の高さや業績からして、iPS細胞の作製に成功した山中伸弥博士のイメージが強くあったからかもしれません。

あるいは、深海や生命の起源に興味がある子は微生物地球学者で性格もイケイケな高井研博士や、映画『シンゴジラ』に協力し最近は暴行事件で姿を消した長沼毅博士でしょうか。ちなみにSTAP細胞一発で上り詰めた(?)小保方博士も博士です。色々いますね。

f:id:mroneofthem:20180106154821p:plain

(白い服を着た右の人です。嘘です。)

 

さて、最先端の科学者達、というイメージがつきまとう華やかな医学や生理学の分野とは対照的に、私が所属している農学界の学者・博士は極めて地味で、「農学者になりたい!」という小学生には会ったことがありません。

とは言え、このブログでも度々紹介しているアメリカの農学博士のノーマン・ボーローグは、「緑の革命」の功績が評価され、1970年にノーベル平和賞を受賞していますよ!

かくいう私も、地方の国立大学大学院で博士号(農学)を取得した一人です。

ということで、まだ見ぬ農学者を目指すわずかなわずかな若者達にむかって、ここでは農学博士になるために必要なことをまとめていこうと思います。

 

博士号をとるルート

研究者っぽい人、学者っぽい人というのは、巷にも結構いるものです。

独学で技術を身に着けたり、勉強したり、一つのことにめちゃ詳しい人ですね。

かといって彼等彼女らに、博士号を意味する「Dr.」がつくかと言えば、そうではありません。(やったことないですが、クレカや航空券で記載できるみたい)

一般にいう学者・博士は、博士号を取得している人を指します。

博士号(Dr.)は資格であり、弁護士や薬剤師にも資格が必要なことと同じことです。

 

1)博士号は大学院でしかとれない

弁護士資格は、司法試験と司法修習(トレーニングのようなもの)でとることが出来ます。

税理士資格は、税理士試験と実務経験によってとることが出来ます。

一方、博士の資格は、博士論文審査という数人の大学教員を相手にしたプレゼンと口頭試問形式の審査を合格すればとることが出来ます。実習のようなものはありません。

とは言っても、博士論文審査に進むためには、学術雑誌に論文が掲載されている、等の前提条件を満たす必要があり、そもそも大学院(博士課程)に在籍している必要があります。

学生じゃない人がいきなり大学院に殴り込んで、「たのもう!博士論文審査しろ!」と言っても、連れていかれるのは審査室ではなく警察です。

したがって、今の時代で博士になるには、例え嫌だろうと大学が時代遅れだろうと、どっかの大学の大学院に在籍する必要があるのです。

指し棒を持った博士のイラスト

2)大学院とは

私も大学に入るまで、大学院が何か分からない口でした。

大学三年生の頃に研究室に配属されて、研究室に「院生」という一歩間違えば鎌倉時代頃の超権力者を思わせる謎の存在がいたことから大学院の存在を知るようになります。

知ってみると大学院の仕組みは超シンプル。

一般的に知られる大学4年間(学士過程といいます)の後、

+2年間の追加の勉強・研究期間を修士課程

修士課程が終わった後、さらに3年間の勉強・研究期間を選ぶ物好きが進む進路を博士課程

といいます。

最近だと、就活に失敗したとかまだ社会に出る心の準備が出来ていないとかで、とりあえず修士課程にいくって人も結構います。博士課程は就職が厳しいので減っています。

留年や飛び級なんてケースもありますが、ストレートで行けば大学入学から9年で博士号をとることが出来ます。9年!長いですね。この間、親戚や家族からの「まだ勉強するの?」の言葉責めに耐える精神力が求められます。金銭的にも考える必要あり。

そんなこんなで、博士号を取得する年齢は二十代後半になっています。

3)博士号取得までにかかるお金

東京大学でストレートで博士号を取得する場合(9年)、生活費を除けば、入学金+授業料だけで計566万8200円がかかります。国立大学だと、どこも似たようなものです。

入学料・授業料 | 東京大学

大学、大学院(修士課程)、大学院(博士課程)の3回も入学金を払わなければいけないのが、よく知られていない点です。

毎回、入学金28万2000円ですから馬鹿になりません。

とは言っても、入学金免除授業料免除の申請がありますし、修士課程、博士課程に進むほど学生数は少なく免除申請は通りやすくなりますから、実際は566万よりは少なくなるはずです。ここは積極的に申請すべき。

私の場合も、授業料は修士課程では半額、博士課程では全額免除になりました。

入学金も博士課程では半額免除になったので、トータル338万4000円です。

博士課程にいたっては、大学にトータル14万1000円しか払っていません。

まぁ、9年間の生活費をどう工面するのか、の方が大事ですね。

私の場合は無利息の第一種奨学金を借りることで何とかしました。

第一種(無利息) - JASSO

 

割とサラッと書く予定が、実情が結構込み入っているのでダラダラと概略を書いてしまいました。今度は農学業界に絞ってマイナーな話を書こうと思います。