おコメ博士の闇米日記

オワコンと言われがちな日本のおコメ。令和のこの時代に、グローバル視点で日本でおコメを作る意味を考えます

遂にスマホで水管理の時代?

前回の記事で今の農学ってホントに農家の役に立ってるの〜?という疑問を書いてみた所ですが、「いやいやありますわな!」という意見もあるので、最近注目の研究について紹介するでござる。

ズバリ、「水田水管理のテクノロジー」でございます。

(研究成果) 田んぼの水管理をICTで遠隔操作・自動制御 | 農研機構

 

要は各水田に行って、バルブを閉めたり開けたり、板を付けたり外したりと、これまでアナログでやっていた水管理をパソコンやスマホを通じてデジタルにやっちまおうというヤツで。

まずは気になるお値段の方から言っときますと、1機10万、基地局20〜30万、通信費用2000〜3000円/月、今時点ではそこそこ高いのですが、使えるテクノロジーと現場で認められ需要が増せば、もっとコストは安くなることでしょう。

目標価格は自動給水バルブ・自動落水口、各1機あたり10万円、基地局20~30万円、通信費用は2,000~4,000円/月です。

 

システム全体の概要はこんな感じ。

水位や水温などのデータを観測したら、基地局を通じて情報がクラウドに送信。そのデータをスマホなどからアクセスし、そのままスマホから指示出しができるって寸法なのです。うーむ。遂に農業にも未来感が出てきましたね。

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使う側からすれば遠隔地にいてもスマホで水管理できる訳なのでかなり楽。

このシステムの研究グループのデータによれば、時間数にして約80%の省力化と、用水量にして約50%の節水が達成されたとのことです。

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まぁ、当分は「ホントにできてんのか!?」を確認するためにせっせと田んぼに行くはずで、労働時間は減らない(むしろ増える?)でしょうけれどね。

 

実際どれくらいの精度でシステムがまわるか、初期投資コストをペイできるまでどれくらい時間がかかるか、メンテナンスはどの程度必要か?など、まだ確認しなければいけないことは多いですが、水管理という作業自体は稲作全体に当てはまることなので、かなり普及する可能性が高いと個人的に思っております。まだ私も使ってないので、実際に導入してみてレビューも書いてみたいところ。

 

で、も一つ重要なのは、水管理の労力が下がり精度も上げることができた場合、今まで以上に簡易に水管理によって栽培をコントロールできるようになるので、水管理と土壌・稲・雑草の生育の関係性などをよく知っておくことが重要になってきますね。で、その水管理の効果を圃場全体に均一に発揮させるためには、圃場の平さがより重要になってきます。かたむいてると、せっかく水管理の技術があっても、あっちでは水が少なく、こっちでは水がたっぷり、みたいなことになっちゃいますからね。そうなると春先の作業が超重要になってきたりして、トッププレイヤー達は春先の田んぼの状態をみれば今年の作況の7割程度がわかるとか。水管理はとにかく奥が深いのです。

 

さて、このシステムは、

今年度中に大手農業系企業グループから発売予定です。

とのことなので、2018年にも新たな展開があるはず。

ちなみにこの研究は2017年の農業技術10大ニュースに選ばれていたりもして、農水からの注目も熱いところ。

http://www.affrc.maff.go.jp/docs/10topics.htm

今後の展開に要注目です^_^