限界集落に移住&農業開始であっという間に3カ月が経っちゃった話
こんにちは。久しぶりのおコメ博士です。
史上初、6月にして関東甲信越の梅雨が明けるという激動の気候にさいなまされている日本ですが、僕の人生も今年4月からなかなかの激動をはじめました。
まず一つは限界集落に移住したこと。
そしてもう一つは、農業をはじめたこと、です。
7月に入ってキリがいいのと、久しぶりに時間がとれたので、この3カ月間に経験したことや考えたことをまとめようと思いますよ。
人口80人の集落に移住したよ
限界集落の定義は、集落の半分以上が65歳であることですが、移り住んだ集落は完全に当てはまります。まず、子供や若者を見ません。唯一の個人商店もかなり昔に廃業し、集落の外に出ないと自販機すらありません。
とは言え、ほとんどの人が畑をやっており元気な人も多く、83歳にして車を乗りこなしているツワモノおばあちゃんも。
まぁ車がないと、スーパーまで15分以上かかる隠れた集落(源平合戦で敗れた平家の落人が開拓した集落とか。)では生活するのも中々大変なので、この集落の全員が自家用車やバスを軸に生活しています。(毎週一回生活品の宅配があったりもしますが。)
そんな不便なこの集落に移り住んだ経緯は色々とあるのですが、大きな理由は借りれた田んぼがこの集落にあったこと。
田舎で農業をはじめるとなると農地の確保や住居の確保が大変になってきますが、限界集落では田んぼの管理を大変に思って辞める人も多いので、「農業やりたい若者」には歓迎ムードがあります。
逆に若者がそれなりにいたりすると、移住者への歓迎ムードは低下気味にはなっちゃうでしょう。やっぱり地元の若者に集落を担ってほしい、のが心情ですからね。
ボロ小屋日本選手権に出てみたい程の小屋に住み始める
東京の賃貸物件の家賃が高く、それに比べたら田舎の家賃は超安いよ、ってのは有名な話ですが、月3000円の家賃ってのは中々ききません。
ですが今すんでいる家は月3000円という家のような小屋ような建物。
当初はツタが家の中に入っていて廃墟レベルMAX、見たことない蜘蛛とか、キッチンに野ネズミが出たりとか、布団の上にスズメバチがいたりとか、なかなかの環境です。笑
日本がコロンビアに勝ったことより驚いたのは、今朝目覚めたら布団の上にスズメバチがいたことだ。4センチ以上の巨大な体。頭にピストルを突き付けられているかのような緊迫感。人生で一番繊細に布団から出た今朝。 pic.twitter.com/Uz4A6oF1VD
— おコメ博士 (@riceiscorrect) 2018年6月20日
集落の人達も「えっ、あそこに住んでるの!?」と、ちょっと引いてるレベル。是非全国のボロ小屋居住の猛者達と闘って、ボロ小屋偏差値を出してみたいですね。
田舎の人のマインド
田舎移住の話でよく聞くのは、価値観に大きい差があって互いに許容し合えないことがあります。
確かに、都会の人が田舎に突然やってくると、色々とトラブルも多いようで。
例えば、雨が降ってきた時に近所の人が勝手に敷地に入り、洗濯物を取り込んでくれたことがあったそうですが、後になって帰ってきた移住者は、敷地に勝手に入られたことを不気味に感じて移住リタイアした、なんて話も。
田舎の人からすれば親切、移住者からすれば有難迷惑、そういう価値観のすれ違いは、結構あるようです。
幸い、僕は青森の弘前大学に通学していた頃、「農村で暮らしてみたい」という願望を達成するために知人のツテを辿って農村集落に住んでたことがあるので、そのギャップを事前に知ってることは大きな助けになりました。
「価値観は全然ちがう」って頭を先に準備しているだけで、ストレスの受け方はぜんぜん違うはずなのです。
というのもあって、田舎移住を希望してる人には、やっぱりプレ移住がお勧めですね。いきなり飛び込みより、二週間でも一カ月でも、どんな人がどんな風に生活してるのかを知ることはとても大事です。外国に行くと思って、その場所の歴史や文化に敬意を払いつつ、挨拶やコミュニケーションを大事にしていれば大きくは失敗しないような気はします。
まぁ、ここの集落の人にとっては僕のような若者は珍しく、久しぶりの移住者なので食べ物をくれたり、昔の話をしてくれたりと、とても親切なので恵まれている点は多いとは思うのですが。
こちらも、積極的に挨拶やコミュニケーションをとるようにはしています。
とは言え、挨拶しても返してくれず怪訝そうな顔をするおばあちゃんもいるので、集落全体からの信頼、というのはまだまだこれからといったトコロでしょうか。
どんなコミュニティにも、色んな人がいるし、新参者に対し警戒心をもつのはフツウのことなので、「まぁそういうもんだ」と受け入れていくことは結構大事な気がします。
研究業から農業へ
さて、もう一つの大きな変化は、農業をはじめたことです。
今の集落にやってくるまでは、農業関係の研究職についていたので、実際に農業をやることはとても大きな変化でした。
同じようにおコメを育てるにしても、研究の場合は仮説をたて、その仮説を検証するためにおコメを育てますが(おコメは結局食べません)、当然実際の生産現場ではより品質のよいおコメを出来るだけたくさん作ることが目的になってきます。
そういう意味では頭の切り替えが必要だなと強く感じます。
というのも、農学ってのも一応サイエンスな訳ですが、「こうすべき」という間違いない正解をもっている訳ではありません。
様々な事例を根拠に、この土壌性質の場合はこうだった、この栽培管理の場合はこうだった、その理由はきっとこういうメカニズムの可能性が高い、という考察をしているのが研究です。
反面、実際の生産現場では、地理や気候、それぞれの田んぼの特徴が違う中で、答え出していかなければなりません。不明な情報が多々ある中でも、行うべき作業を決定し、技術を用いて(この機械操作技術がめちゃくちゃ難しい)任務を遂行する訳ですが、正しい判断、というのはなかなか難しいものです。
研究における誠実さは「言い切らない」ことにあると個人的に思ってますが(この場合はこの可能性が高く、という言い方の方が誠実)、実際の生産活動では「言い切った」方が推進力がありますし、とりあえずでも「答え」を出していかなければ判断ができません。
まぁ、そのあたりは、生産現場の経験を積み重ねていくしかないのでしょうね。
まだまだ遠い田舎スタイル
休みの日、「筋肉を使いたくねぇ!」という魂の衝動に駆られ、布団の中でスマホを片手でもつのも避けるほど、全身の力を抜いて泥のように眠ることが多くなりました。
それは肉体を農作業にフルに使ってる証拠で、一日中冷房の効きすぎた部屋でデスクワークするよりはよっぽど性に合っていますが、疲労が蓄積するとみるみる元気がなくなっていくのも感じます。
体が必要なものを欲するのか、「肉が食いたい!」とか「果物うめぇ!」とか体の欲望が素直に出てきているような気が。体重も順調に降下中(約3キロ減)です。
農作業で疲れきるので、休みの時は布団の上でゴロゴロすることが多い僕ですが、対照的に田舎のおじさんおばさん達はよく働くので感心します。
早朝から草刈りしたり、田んぼの草をちょくちょく手でとっていたり、畑でタマネギをササッと収穫して近所の人に配ったり。。。
なんか僕みたいに、ガッツリ働く!急にパワーオフ!みたいな激しいスタイルじゃなくて、常にローギアでスローだけど確かに動いているって感じ。
きっとその方が負担が少なくて、長期的に働けるってことなんでしょう。
はやく、そういうスタイルになりたいものですな。
さてさて、そんなこんなで田舎移住3か月間の感想をとりとめもなく書いてみました。
まだ野菜も米も収穫してないので、農業の醍醐味もこれから。集落との関係性もこれから。といった感じ。
農業技術についても学ぶことが多かったので、今度はそんなことも書いてみようと思っています。